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コラム

あいそめクリニック

漢方コラム

2020.05.25

芍薬の花咲く頃

芍薬の花がきれいな季節ですね。芍薬は、すらりとした茎の先に華やかな花を咲かせ、香りもよいので、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といわれるように、牡丹や百合と並んで、美しい女性を形容することばとして用いられてきました。
日本では中国から薬用の植物として平安時代に伝えられて以来、薬用、観賞用に栽培されてきました。花は、4月から6月頃に開花時期を迎えます。ちなみに、牡丹とは、よく似た花を咲かせますが、二つは全く違う植物です。
牡丹(ボタン)は落葉低木で「木」であるのに対して、芍薬(シャクヤク)は「草」になります。


生薬としてよく用いられるのは、根の部分です。芍薬は血を補い、痛みを止め、筋肉の緊張を緩めるなどの作用があるので、貧血や腹痛、筋肉痛、こむらがえりなどに用いられます。ちなみに、生薬として用いる場合は、根に栄養をゆきわたらせるために花を咲かせないようにして栽培されるようです。
漢方処方として、たとえば風邪薬として有名な「葛根湯」にも芍薬が含まれていますが、他に「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」など婦人科系の諸症状によく用いる処方や、「芍薬甘草湯」などにも含まれています。
なかでも、「芍薬甘草湯」は、「芍薬」と「甘草」だけで構成されているシンプルな漢方薬で、痛み止めの薬としてよく使われています。とくに、急に起こる筋肉のけいれんをともなう痛みに対してよく用いられ、こむら返りの薬として知られています。また、急な腰痛や腹痛などにも使われるなど、即効性があることで知られています。

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