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コラム

あいそめクリニック

漢方コラム

2020.08.16

季節の漢方 ヨクイニン(薏苡仁)

 今年は梅雨明けが遅く、日差しの恋しい7月でしたが、8月に入ってからは梅雨明けとともに連日猛暑ですね。みなさん夏バテはしていませんか?今回は、夏におすすめの生薬、ヨクイニン(薏苡仁)についてのお話です。

 ヨクイニン(薏苡仁)の原料である「はと麦」は熱帯アジア原産の雑穀で、「麦」という文字がつきますが、小麦の仲間ではなく、イネ科植物の一種である「ジュズダマ」の仲間です。雑穀の中ではいちばん粒が大きく、5、6mmほどの大きさがあります。「はと麦」という名前は、鳩が好んで身を食べたことから明治以降に名付けられたといわれています。
 はと麦は、むくみを解消したり、水いぼや肌荒れを治し、美白・美肌効果があるとされ、はと麦茶として煮出して飲まれたり、薬膳食材として用いられたりします。はと麦茶として飲む際は、種皮を付けたままの種子を焙煎します。

 生薬としてのヨクイニン(薏苡仁)は、ハトムギの種皮を除いた種子を原料にしたものです。漢方的には、体の余分な水分を排泄し、痛みをとる作用、清熱排膿(熱をとり膿を排出する)作用があることから、熱感を伴う関節痛や筋肉痛、神経痛、いぼなどに用いられます。ヨクイニンを含む処方としては、薏苡仁湯(よくいにんとう)、麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)、桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)などのほか、ヨクイニン単独のエキス剤もあります。ヨクイニン単独のエキス剤は主にいぼなど皮膚のトラブルに用いられます。

 はと麦茶は焙煎しているので香ばしさはありますが、苦味や渋味はほとんどなく、甘みも感じられて比較的飲みやすい味です。夏の水分補給におすすめですが、体を冷やす効果があるため、妊婦さんや冷え性の方は飲みすぎに注意しましょう。また、前に述べた通り、はと麦はイネ科の植物ですので、イネ科アレルギーのある方や小麦アレルギーの方も注意が必要です。

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